固定資産税の課税への審査の申出

1 土地・家屋の価格は、課税標準となる価格の据置制度がとられており、
  3年度ごとに評価替えをする(地方税法409条)。
  このため、基準年度(法341条6号)で評価替えをした価格は、原則として
  3年度間も据え置かれ、この価格が課税台帳に登録される(法411条)。


2 このような価格の据置制度があることから、第2年度または第3年度の賦課期日
  において、地目の変換等の特別の事情があるため、基準年度の価格によらず、
  比準価格によるべきであると審査の申出をする以外は、審査の申出をすることは
  できない(法432条1項ただし書)。

従業員等の競業避止義務 (判タ1387-5)

1 本稿は、過去の裁判例を調査した上で、在職中の競業行為に関する問題、
  合意等による退職後の競業避止義務の有効性に関する問題、退職金支払
  請求権に関する問題、不法行為の成否の問題などの類型ごとに整理した上
  で、各類型で問題になる論点について考察した。


2 判断要素(分類基準)
(1)業種
(2)根拠 
  ア.規則 イ.合意
(3)効力
(4)効果
  ア.差止め イ.損害賠償 ウ.退職金
(5)使用者利益
(6)退職者の地位
(7)制限範囲
  ア.期間 イ.場所 ウ.業務・対象
(8)代償措置
(9)その他

 

規範的要件の要件事実 (判タ1387-24)

1 「過失」、「正当な理由」などの規範的要件の要件事実については、
  「過失」などの規範的評価それ自体を主要事実とし、それを根拠づける
  具体的事実を間接事実とする見解(間接事実説)と、評価根拠事実と
  評価障害事実に分け、いずれも主要事実であり当事者の主張を要する
  見解(主要事実説)があり、主要事実説が通説であるとされている。


2 過失相殺における過失を基礎づける具体的事実について、
  当事者の主張を要するかという点について見解が分かれている。


3 本稿は、主要事実説を採ると様々な不都合が生じることを具体的な
  事例に基づいて検討し、間接事実説を採用するのが相当であることを
  論じている。


4 過失相殺における過失については、主要事実説に立ったとしても、
  具体的な事実について当事者の主張は必要ではなく、裁判所が
  証拠資料から裁量で過失相殺ができると解するのが相当であること
  を論じている。

賃借権と抵当権

1 借地権とは、建物の所有を目的とする「地上権」又は土地の
  貸借権をいう(借地借家2(1))


2 抵当権の目的とされる権利の種類は法定されており、借地権のなかで
  地上権については抵当権の設定ができる(民369(2))。
  賃借権は、抵当権の目的とすることはできないので、賃借権をもって
  担保の目的としたい場合は、他の制度(質権等)を利用するしかない。


3 一般定期借地権の設定に関しても同様に賃借権又は地上権により設定する
  ことが可能であるが、抵当権の目的とするときは地上権にする。


4 登記手続
  土地につき地上権による一般定期借地権の設定登記をなし、その地上権を
  抵当権の目的物として抵当権設定登記をする。


5 登記申請書
  登記の目的 ○番地上権抵当権設定

借地権の期間

1 借地借家法附則6条
「この法律の施行前に設定された借地権に関わる契約の更新に関しては、
なお従前の例による。」
借地借家法の施行→平成4年8月1日


2 旧法(借地法)
【原則】2条 
 堅固…60年(これ以上の期間の合意も可)
 その他…30年以上(    同上    )

【更新】 
・合意更新(5条)
 堅固…30年
 その他…20年

・請求による更新(4条、5条)
 堅固…30年
 その他…20年

・法定更新(6条.1但、5条.1)
 堅固…30年
 その他…20年