1 建物建築工事の注文者と元請負人との間に、請負契約が中途で解除された際の
出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合には、元請負人から
一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造
したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情がな
い限り、右契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する。
2 本判決は、注文者の承諾がないままに一括下請されたケースにつき、このよう
な下請負人は元請負人の履行補助者的立場にあるものであるから注文者に対して
元請負人と異なる権利関係を主張し得る立場にはない。
3 注文者の関与できない元請や下請など工事をする側の内部事情いかんによって
元請契約で定められた注文者の地位や権利が変動し、結果として注文者が代金
の二重払いを余儀なくさせられるような事態になることは不合理であるとの判
断に基づくものと思われる。