建築訴訟の審理モデル~追加変更工事編~(判タ1453号5頁)

 

1 審理モデル(追加変更工事編、瑕疵編、出来高編)は、今後3回に渡って本誌に掲載される予定である。

2 追加工事の要件事実

①当該工事が追加変更工事であること(追加性)

②施工合意

③確定代金額の合意

 ③´a有償合意(有償性)

   b相当代金額(相当性)

④⑤完成・引渡

(1) 追加変更工事契約の法的性質については、本契約と別個の契約と解される場合と、本契約の一部変更であり本契約と同一の契約に基づくものと解される場合に大別できるが、実務上は後者と解される場合が多い。

(2) 追加変更工事を施工することの合意はあるが、代金額については特段合意していない場合は、③´の要件を主張立証することになる。

3 商法512条に基づく請求

(1)施工合意や有償性が認められない場合に備え、予備的に商法512条に基づく請求がされることがあるが、かかる請求が認められる事例は極めて限られると考えられる。

(2)有償合意が認められない場合には、「無償の合意を認定することができる場合が多く、・・・商法512条に基づく請求をすることによって、有償性に関する立証の不奏効が救済されるような事例はほとんどないように思われる。」

4 調停委員の意見の活用方法

 調停が不調となる場合には、調停委員にて意見書を作成し、当事者に交付した上で、訴訟手続の調書に添付したり、当事者に証拠として提出してもらうという運用を行っている。

5 参考書式

別紙1 審理モデル図

別紙2 訴状

別紙3 「建築関係図等チェックリスト」

別紙4-1 追加変更工事一覧表(書式)

別紙4-2 追加変更工事一覧表(記載例)

別紙5 「追加変更工事一覧表作成に当たってのお願い」