民法597条に基づく使用貸借契約の終了〜親族間の不動産の使用貸借契約を念頭に〜(判タ1499号49頁)

1 別紙最高裁の判決一覧
 A 597条1項により解決を図ることができる類型
 B 597条2項により解決を図ることができる類型
 C 597条3項により解決を図ることができる類型
2 (B類型)明確な使用目的の定めがなく、個別的具体的な使用目的も認定できない場合には、抽象的な使用目的を認定した上で
 a 使用収益をするのに足りる期間の経過を昭和45年最判及び平成11年最判の摘示した事情を比較衡量しての判断により、
 b 信頼関係の破壊などにより使用貸借契約の「契約の目的、前提又は原因」が失われたことによる597条2項ただし書の類推適用により、
当該使用貸借契約が終了すると考えるのが相当である。
3 597条にいう「使用目的」は、可能な限り、当該使用貸借契約の終期を確定させることができるような個別具体的なものを認定する。
4 個別具体的な使用目的を認定することが困難な使用貸借契約においては、使用貸借契約が無償契約であることを強調してその存続を制限することは相当ではない。
5 判断枠組みが複数考えられるため、条文を適用又は類推適用する場合は該当条文を、そうでない場合は判断枠組みを明示する必要がある。