2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

支払不能前の債権差押えと執行行為の否認(判タ1342-28)

1 最二小判昭39.7.29 債権の一部弁済たる「配当行為」を否認の対象としようとする場合、 判断の基準時は、強制執行の着手の時ではないと述べている。 受益者の悪意についても、判断の基準時は、配当行為の時と考えて いるように読める。 2 法165条は、当然…

抵当権と賃借権の時効取得の対抗関係(判タ1342-96)

1 不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、 当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合、上記 の者は、上記登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該 不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売により…

東京地裁破産再生部における近時の免責に関する判断の実情(判タ1342

1 免責不許可事由別の検討 ① 破産者が意図的に破産債権者を害する行為 ② 破産手続上の義務を怠り、手続の進行を妨害する行為 ③ 政策的な免責不許可事由(再度の免責申立て) 2 9号の不許可事由(不正な手段による破産管財人等の職務の妨害 行為)があり、…

建物の賃料債権の差押えとその後に建物を譲り受けた者との関係

1 右譲受人は、建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗 することができないと解するべきである(最判平10.3.24)(金法1519-109、 1556-59) 2 建物の所有者を債務者とする賃料債権の差押えにより右所有者の 建物自体の処分は妨げられないけれど…

懲戒解雇の普通解雇への転換

1 懲戒解雇と普通解雇の差異は退職金債権の発生を阻害する効果を伴うか か否かにすぎないから、両者を全く異質なものとみる必要はなく、使用者 が懲戒解雇事由にあたると考えた事実を懲戒解雇事由に評価しえない場合 でも、普通解雇としての効力が生じない…

精神障害者の自殺的な転落と自殺免責(奈良地裁平22.8.27判決)(判

1 Yは、上記転落は、Xが自殺を図るため故意に行ったものであるから、 Yは免責条項により、Xに対する高度障害保険金の支払いを免責される などと主張した。 2 上記転落は、Xの自由な意思決定能力が喪失されたといえるのと同程度 に著しく減弱させた結…

離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意と詐害行為取消権(最判12.3.9判決

(最判解説)(246頁以下)1 離婚に伴う慰謝料として配偶者の一方が負担すべき損害賠償債務の額を 超えた金額を支払う旨の合意は、右損害賠償債務の額を超えた部分に ついて、詐害行為取消行使の対象となる(判決要旨二)。 2 本件 配当表の変更を求めた配…