破産管財人が、別除権の目的である不動産の受戻しについて上記別除権を有する者との間で交渉し、又は、上記不動産につき権利の放棄をする前後に上記の者に対してその旨を通知するに際し、上記の者に対して破産者を債務者とする上記別除権に係る担保権の被担保債権についての債務の承認をしたときは、その承認は上記被担保債権の消滅時効を中断する効力を有する(判タ1511号119頁)

1 承認(民法147条3号)は、既に得ている権利を放棄するなどといった新たな処分行為をするものではないから、承認をするに相手方の権利についての処分権限を有することを要しない(民法156条)が、承認によって時効中断効という不利益が生ずる以上、同条の反対解釈により、管理権限を有することを要すると解されている。

2 破産管財人の職務は破産財団に関する処理をすることにあり、破産管財人の破産財団に属する財産に対する管理処分権限もその限度で付与されるべきものであるから、破産管財人がした行為が債務の承認として時効中断効を生ずるためには、当該行為が破産管財人の職務の遂行の範囲に属するものである必要があろう。