2015-01-01から1年間の記事一覧

免責(判タ1403号5頁)

1.「東京地裁破産再生部における近時の免責に関する判断の実情(続)(判タ1403号5頁)」は、免責不許可決定がされた事例及び裁量により免責が許可された事例の一部を紹介するものである。 2.原雅基「東京地裁破産再生部における近時の免責に関する…

事前求償権を被保全債権とする仮差押えは、事後求償権の消滅時効をも中断する効力を有する(最三小判平成27年2月17日)(判タ1412号129頁)

1.本件は信用保証協会であるXが、信用保証委託契約上の事後求償権等に基づき、Yらに対し、金員の連帯支払を求めた事案である。Yらが事後求償権の消滅時効を主張したのに対し、Xは事前求償権を被保全債権とする仮差押えにより消滅時効が中断していると…

請負報酬請求事件における追加変更工事に関する実務上の諸問題(判タ1412号87頁)

第1 追加変更工事の請負報酬請求に関する基本的な主張立証の構造と審理・判断の在り方等 1 請求原因等について 2 被告が追加変更工事の合意を争う場合 3 被告が発注主体を争う場合 4 被告が施行の事実を争う場合 第2 追加変更工事事案において実務上み…

特別縁故者の死亡による申立事件の帰趨(東京高裁H25.7.3判タ1410-122)

1.被相続人(以下「B」とする)の特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人(以下「A」とする)が、その申立後に死亡し、相続人のあることが明らかでないとして相続財産法人が成立した場合には、当該相続財産法人がAの地位を承継したものというべきで…

相続分の全部を譲渡した者と遺産確認の訴えの当事者適格(最判H26.2.14判タ1410-75)

1.共同相続人のうち、自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。 2.共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、積極財産と消極財産を包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり、遺産分割審判…

行政書士に、介護タクシー事業を営もうとする者に対する、手続選択に関する信義則上の助言・説明義務違反が認められるとして、契約締結上の過失に基づく損害賠償責任(不法行為責任)が認められた事例(大阪高判平成26年6月19日判タ1409号255頁)

1.不特定多数人を顧客とする介護タクシー事業を営むことを計画している依頼者に対し、特定旅客事業の許可申請手続をした行政書士が、契約上の過失に基づく損害賠償を求められた事案。行政書士(原告)が、依頼者側(被告ら)に対して未払い報酬と費用の支…

傷害慰謝料基準と判決の認定水準(赤い本2015下巻81頁)

1.別表2では、別表1と異なり、実際の通院期間(通院開始日から通院終了日の間の日数)によらず、実通院日数で基準金額を算定する方式が採用されている。 2.別表2のように、通院期間を基準額算定の基礎におきながら実は実通院日数(極端に言えば通院回数…

本人確認情報提供制度と司法書士の過失(東地判S24.12.18)(判タ1408号358頁)

1.Aが所有する不動産をB、Cと順次売買するにあたり、原告がCに対して売買のトラブルにより生じた損害を保証する契約を締結していた。AB間の所有権移転登記手続の依頼を受けた司法書士(被告)は、本人確認における注意義務を怠ったため、DをAであ…

賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の確定判決の既判力(最判H26・9・25判タ1407−69)

1.借地借家法32条1項の規定に基づく賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の確定判決の既判力は、原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り、前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額…

農地法5条許可の売買と和解条項

1.条項 (1)被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の農地(以下「本件土地」という。)を○○県知事の農地法5条の規定による許可を条件として代金○○万円で売り、原告はこれを買い受ける。 (2)被告は、原告に対し、平成○○年○月○日限り、本件土地につき…