傷害慰謝料基準と判決の認定水準(赤い本2015下巻81頁)

1.別表2では、別表1と異なり、実際の通院期間(通院開始日から通院終了日の間の日数)によらず、実通院日数で基準金額を算定する方式が採用されている。
2.別表2のように、通院期間を基準額算定の基礎におきながら実は実通院日数(極端に言えば通院回数)で金額を決定する方式に妥当性があるのかは、常に議論のあったところであるが、現在の基準構造に関しては、その妥当性について十分な議論がなされてこなかった。
3.実通院日数によらず、通院期間日数をもとに算出した基準値と判決の認定金額の水準比較によると、通院頻度がかなり低い場合であっても、認定金額が相当な水準になっている判例も少なくない。
4.一方、別表2による基準値(実日数×3に基づく基準値)と認定金額の水準比較によると、実通院日数×3が少ない場合で通院期間日数もそれほど長期でない場合には、別表2の基準よりかなり高い金額が認定される傾向が窺われる。
5.裁判例の認定傾向は、実通院日数をもとに慰謝料基準金額を認定する方式だとはいいにくいものがある。