2020-01-01から1年間の記事一覧

遺産分割協議後に発見された遺産の分割において、先行した遺産分割を考慮するか(消極)(大阪高決令和元年7月17日判タ1475号79頁)

1 平成11年に被相続人Cが死亡し、相続が開始した。相続人は、妻である亡D、子である抗告人A及び相手方Bの3人であった。 平成13年に亡Dも死亡し、平成14年に亡Dの相続人であるAとBとの間で、遺産分割協議が成立した。ところが、平成16年頃にC名義…

不動産を親族に遺贈する旨の自筆証書遺言作成後に、当該不動産売却のため、不動産業者との間で専任媒介契約を締結し更新したことが、民法1023条2項「抵触」に当たらないとして、遺言の撤回があったとみなすことができないとされた事例(東京地判平成30年12月10日判タ1474号243頁)

1 亡父が、自筆証書遺言作成後、同遺産を構成する各不動産を売却するため、不動産業者との間で専任媒介契約を繰り返し締結し、同各不動産を売却する意思を示す等しており、民法1023条2項により上記遺言は撤回されているから、原告は相続により同各不動産を…

民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」の意義(最二小判令和元年8月9日判タ1474号5頁)

1 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認または放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての…

破産法162条1項柱書の「既存の債務についてされた担保の供与」の該当性につき、対抗要件具備の経緯が問題とされた事例(判タ1471号130頁 和歌山地方裁判所民事部 平成28年(ワ)第584号)

1 本件融資から本件各担保契約についての対抗要件の具備までに時間を要した(本件融資6/30 担保契約7/17 対抗要件具備7/28又は8/13)ことを理由に、本件各担保契約が「既存の債務についてされた担保の供与」該当するかが争われた 2 ⑴ 破産法162条1項柱書は…

被用者が使用者又は第三者に損害を与えた場合における使用者と被用者の間の賠償・求償関係(判タ1468号5頁)

第1 使用者による請求について 1 訴訟物 2 賠償・求償の制限1(特約によらない制限) (4)裁判例の傾向の分析 ア 制限の範囲各論以外の点 イ 制限の範囲各論について (ア)交通事故類型について (イ)図利加害類型について 報償責任や危険責任の観点…

リフォーム工事が建築関係法令に違反した場合の契約関係の整理(判タ1467号18頁)

1 本報告では、注文者が建築関係法令違反のリフォーム工事(特に断らない限り、設計施工一体型を念頭にする。)を問題とするときの典型的な主張及びその問題点を整理して審理の見通しを立てられるようにすることを目的とする。 2 報告者が所属する大阪地裁…