2009-01-01から1年間の記事一覧

相続放棄の申述の受理を争う場合

1 債権者の提訴により被相続人に多額の債務があることが判明したとして なされた相続放棄の申述について,熟慮期間を繰り下げるべき特段の事情 がないとされた事例(判タ1309-251、大高判H21.1.23) 2 Yが相続放棄をしたと抗弁し、その相続放棄の熟慮期間…

更新料の支払合意の消費者契約法10条

(金法1887-117)一(無効例)大阪高裁、平成21.8.27判決 1 本件事案における更新料の支払合意は、判示の事実関係のもとにおいて は、消費者契約法10条に照らして、無効である。 二(有効例)大阪高裁、平成21.10.29判決 1 本件事案における更新料の支払合…

担保消滅請求

1 破産法上の担保権消滅請求制度の対象には商事留置権が含まれる。 2 商事留置権については、別途、商事留置権の消滅の制度が設けられて いる(192条)。一般の担保権の消滅の制度は、担保目的財産の任意売却の 場面を対象とするのに対し、商事留置権の消…

死者を債務者とする不動産の仮差押

1 無効 2 取下げの嘱託の関係で、相続財産登記をすると、その債務者表示の変更も 必要。 3 担保 ① 無効であるが、仮差押執行は完了している以上、取戻でなく取消。 ② 相続財産管理人の同意で担保取消は可能。

債権の分割と民事再生

1 分割の形態 ① 保証履行 ② 債権譲渡 2 頭数 ① 分割した場合は、1が2になる。 ② 議決要件のために、債権譲渡が用いられた場合、「不公正な方法」 かの検討。 3 再生計画の少額債権への取扱い ① 仮装譲渡的にして少額債権化した場合 a.再生計画段階 ・・…

自己株式

1 ① 法155 ② 財源規制461 2 ① 譲渡制限 ② 相続等による取得者に対する売渡請求

貸金業者が借主に貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為と不法

1 貸金業者が借主に対し貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が 不法行為を構成するのは、貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠 を欠くものであることを知りながら、または通常の貸金業者であれば容易 にそのことを知り得たのに、あえてその…

担保不動産収益執行における担保不動産の収益に係る給付を求める権利

(判タ1308-120 H21.7.3最判)1 管理人が取得するのは、賃料債権等の担保不動産の収益に係る給付を 求める権利(以下「賃料債権等」という。)自体ではなく、その権利を 行使する権限にとどまり、賃料債権等は、担保不動産収益執行の開始 決定が効力を生じ…

財団債権ある労働債権の査定請求

1 ① 事実判断 ② 財団債権の部分は決定できない 2 訴え ① 優先破産債権の確定 ② 財団債権の確認の請求 として処理できる。 3 査定請求の取下げを指導すると、破産裁判所の判断がなされず、査定決定 の判断に基づく破産管財人の和解的処理の機会を奪う。

他企業の労働者の利用形態

1 業務処理請負 ① ある企業(請負企業)が他企業(発注企業)に対してその一定業務 の処理を請け負い、この請負業務を遂行するために自己の雇用する 労働者を発注企業の事業場において自己の指揮命令下に労働させる ことをいう。 ② 労働者に対する指揮命令…

極度額の不足額の計算方法

一 1 物件目録1 A社の根抵当権 2 物件目録2 B社の根抵当権 → A社に代位弁済で移転 二 1 A社の債権 求償権 2 支払先 甲社、B社 三 1 A社は物件目録1について、甲社、B社に代位弁済をした債権按分で 極度額を超える部分を配当出来るか。 2 B…

公売(見積価格の公告)

1 税務署長は、公売財産のうち次の財産については、それぞれに掲げる日 までに見積価格を公告しなければならない(徴99①)。 不動産 ・・・・ 公売の日から3日前の日までの日 2 不動産等の賃借権の公告 公売財産に地上権又は賃借権があるときは、併せてその存…

再度の考案

1 抗告を受理した原裁判所または裁判長は、抗告に理由があると認めるとき には、その裁判を更正しなければならない(333)。 2 決定および命令には、判決と異なって、自縛力が弱いことを根拠とする。 3 この更正は、判決についての更正決定(257)とは違…

破産開始決定に関する再度の考案

1 住所地 北海道 開始決定 東京地裁 2 管轄なしで即時抗告(9条)、移送申立(13条、民訴法16条) 3 再度の考案(13条、民訴法333条)

成年後見(日弁研修)

1 市町村申立 ① a.根拠法 b.老人福祉法32 c.知的障害者福祉法27の3 d.精神障害者福祉法51の11の2 ② 市町村長は、本人について「その福祉を図るため特に必要があると 認めるとき」に申立を行う。 具体的には、親族に申立を期待することが…

債権配当における運用の変更(金法1883-34)

1 本件配当異議訴訟の争点は、債権差押命令の申立書には、従来の実務の 取扱いに従い、請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載 して上記申立てをした債権者が、差押えが競合して配当が実施されるとき には、配当期日までの遅延損害金の額…

遺産としての現金・預貯金や金融資産の遺産分割の要否

1 現預金等「可分」にみえる遺産の調整機能 2 預貯金 ア 当然分割 イ 銀行実務などでは、相続人の一人が銀行に対して遺産である預金のうち、 相続分に応じた額の払戻しを請求しても、ただちに応じないことがある。 ウ 一部の共同相続人が、他の共同相続人…

成年後見人の辞任許可の審判

1 正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞する ことができる(民844号条) 2 正当な事由とは、後見事務を遂行し得ない遠隔地で職務に従事する場合、 成年後見人の職務が長期間になった場合、老齢、疾病、身体障害等による 負担加重…

追加配当(法215)

1 裁判所が許可をした 2 最後配当、簡易配当について作成した配当表基づき遅滞なく追加配当の 手続に参加することができる破産債権者に対する配当額を決め、当該債権者 にこれを通知して行う。 3 遅滞なく裁判所に書面による計算の報告を行う。 4 公告の…

保護者の選任

1 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(旧精神衛生法)は、精神障害 者(精神3)について、(ニ)扶養義務者が保護者となると定めています。 2 事件本人が精神障害者であるか否かも審理の対象となるかについては争い がありますが、保護者選任の審判…

監督委員(会社更生)

1 監督命令は、開始前会社の事業の経営および財産の管理・処分権を現経営 陣に認めた上で、裁判所の指定する事項について監督委員の同意を必要と する形でその権限行使を制限するものであり、保全管理命令が現経営陣から 経営権および財産の管理・処分権を…

請求申出期間内に請求申出がなく、かつ、知れなかったために除斥され

1 残余財産がある場合には、相続人捜索の公告期間内に請求申出をすれば この残余財産から弁済を受けることができる(民法957Ⅱ、935)。この場合 も、相続債権者が受遺者に優先して弁済を受ける。 2 管理人に知れなかった相続債権者・受遺者が相続人捜索の…

遊泳者と漁船の衝突事故

1 海で遊泳中の者と漁船が衝突した事故について、漁船を操船していた船長に 前方注視義務違反、減速義務違反の過失があるとして、不法行為が成立する とされた事例 2 海で遊泳中に漁船と衝突して死亡した被害者の相続人が加害者に対する 損害賠償請求訴訟…

過払金請求に関する論文特集(判タ1306-5)

1 判例 H21.9.30まで分2 主たる内容 ① 貸金業法43条の要件 ② 取引履歴の不開示と損害賠償、取引履歴の不開示や過払金の受領に よる不法行為の成否や慰謝料の額、文書提出命令との関係 ③ 取引の個数と消滅時効の起算点 ④ 過払金返還請求訴訟における判決 ⑤…

定期建物賃貸借

1 成立要件 ① 一定の期間を定めること ② 契約の更新がないこととする特約を定めること 2 効力要件 ① 書面によって契約をすること ② 契約の前に予め家主が借家人に対し、契約の更新がなく期間の満了 により当該建物の賃貸借が終了することについて、その旨…

DIP型更正手続における標準的スケジュール(東京地裁)

更正手続開始申立 ↓ (3週間) 更正手続開始決定 開始決定から認可決定まで(23週間) ↓ (18週間) 更正計画案提出 ↓ 更生計画案の決議 認可決定

保険料不払と消費者契約法

◇ 生命保険約款において、保険料を猶予期間末日までに支払わないときは 保険契約が同日の経過により当然に効力を失う旨を定めたいわゆる「無 催告失効条項」は、消費者契約法10条の規定により無効であり、無催告 失効条項によって生命保険契約が失効すること…

無剰余取消の同意の時期

◇ 無剰余であることを理由に強制競売の手続を取り消した決定に対する執行 抗告において、抗告審において優先債権者の同意を得たことが証明された ことから、強制競売の手続を取り消す必要がないとして、原決定が取り消さ れた事例(判タ1304-300) 1 強制競…

共益債権の代位弁済をした場合、給付の訴えは却下(金法1881-57)

1 民法501条柱書の「自己の権利に基づいて求償することができる範囲内」 とは、求償権の存在や額を行使の上限とするにとどまらず、求償権の行使 に実体法上または手続法上の制約が存する場合には、原債権がその制約に 服することを意味している。 2 本件求…

動産売買先取特権の物上代位に基づく債権差押手続の実務

1 NBL915−182 ファイル名 11−23 商品の流通過程の中間に位置する商社Bが民事再生や破産手続に入った 場合、Bに商品を販売したメーカーなどAのBに対する当該販売代金債権の 優先的回収手段の1つとして、動産売買の先取特権(民法311条5号…