2009-01-01から1年間の記事一覧

オーバーローンの配当なしの抵当権の取扱いについて

1 売主側〔共通基準〕(破産管財人の方針) ① 判付料しか支払いをしない → 競売 ② (併行)否認請求 ③ 担保権消滅請求 2 買主側の希望 ① 担保権消滅(破産管財人は協力) ② 抵当権の買受(債権譲渡)(破産管財人は関知しない)

過払金返還請求権の消滅時効(NBL914-23)

1 今回の3件の最高裁判決がなされた事案は、いずれも、リボルビング式の基本 契約に基づく取引で、提訴の10年以上前から、過払金が発生しており、以降も、 貸付けと返済が繰り返されたにもかかわらず、提訴前の10年間、一度も、貸付 残高がプラスになること…

釈明

1 法149条1項に基づいて、裁判所は当事者に釈明命令を出す。 2 期日に命令に応じないと却下(法157②→法157①)

手形保証

1 手形保証とは、振出人、引受人などの手形債務を保証するために、保証 であることを表示して手形上に署名することをいう。 手形保証は手形または補箋にしなければならない。 2 手形保証は、「保証」その他これと同一の意義を有する文字をもって表示 し、…

債権差押命令の取消と破産

◇ 東京高裁 平21.1.8決定(判タ1302-290)1 決定 ① 破産法42条2項により、債権差押命令は、破産財団に対して効力を失う が、破産法の規定の体裁に照らしても、絶対的に無効となるものでは ない。 ② 形式的に、破産手続と強制執行手続が併存することにより、…

参加差押え

1 参加差押えの意義 ① 参加差押えは、滞納者の財産について滞納処分の差押えが先行して行わ れている場合において、その財産が不動産や自動車等の財産であるとき に、交付要求の一方法として認められる手続です。 ② 参加差押えは、先行する滞納処分手続に参…

更新料(NBL913-16)

1 「更新料」とは、名目のいかんにかかわらず、契約の更新の対価として授受 される金員、すなわち、期間の満了により契約が終了するに際し、当該金員の 支払いが契約を更新するための条件となっている場合の金員をいう。 2 従来の問題 約定の更新料が支払…

倒産申立て解除条項 ファイナンス・リース契約における民事再生申立

◇金法1876-441 本判決 「民事再生手続の中で債務者の事業等におけるリース物件の必要性に 応じた対応をする機会」を失わせる事前合意は無効と判断した。この 機会を再生債務者に与えることは民事再生法の強行法規であるとの判断 である。 2 この機会とは、…

普通預金の払戻拒絶措置(預金拘束ないし預金凍結)と不法行為

1 預金者の大口かつ重要な取引先であって、事実上きわめて密接な 関係がある会社が民事再生手続開始の申立てをしたために、預金者 の同会社に対する多額の貸付金債権の大部分が回収不能となる可能 性が高くなり、そのため預金者は実質上の債務超過に陥り今…

品確法の新築住宅

1(定義) 第二条 「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用 に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年 を経緯したものを除く。)をいう。 2 平成12年4月1日施行 3 瑕疵担保責任の特例(94〜97条)

傾斜地における土砂の崩落と妨害予防請求権

1 傾斜地等においては、格別の人為が加えられなくても、土砂の崩落 が起こる場合が少なくない。 2 一般的な物権的請求権の観念からすれば、このような場合、下方 の土地の所有者、占有者は上方の土地の所有者に対しその費用負担に おいて妨害予防請求等を…

のり面と境界

1 一般に、高低差のある土地相互間においては、そののり尻に境界が あり、のり尻からのり肩までののり面は、高い方の土地に属するもの とされている。 2 崖地処分規則1条は、「凡ソ甲乙両地ノ中間ニ在ル崖地ハ上層ノ所属 トスヘシ其従来ヨリ下底所属ノ確…

再生手続の終結

1 「再生計画が遂行されたとき」の意義 民事再生法189条1項2号は、再生債権に対する弁済の履行を「再生 計画の履行」と表現しているが、「再生計画の遂行」はこれとは別の 概念であり、再生計画に定められた再生債権に対する弁済の履行に 限られない。 2 …

賃貸マンションの敷引特約、更新料特約の効力(NBL911-6)

1 居住用の賃貸マンションにおけるいわゆる敷引特約および更新料 特約が消費者契約法10条により無効となるか。 2 事案の概要 賃料月額5万8000円、保証金35万円、更新料として11万6000円 保証金に関し、解約の際には解約引きとして保証金から35万円を差し …

監督委員(特別清算)

1 第527条 裁判所は、1人又は2人以上の監督委員を選任し、当該 監督委員に対し、第535条1項の許可に代わる同意をする権限を付与 することができる。 2 監督委員は、会社法において新たに創設された特別清算の手続の 機関である。 監査委員の同意権の正当…

担保権消滅と配当協議

1 法191条 → 民執法85条2 民執法85条5項、同条1項但書3 ① 配当期日においてすべての債権者間に、実体規定によって定ま る配当の順位及び額と異なる順位及び額によって配当を受ける 旨の合意が成立した場合には、その合意に従って配当表が作成 される(民…

企業の損害と民訴法248条の活用(判タ1299-39)

1 損害賠償請求の対象となった行為の態様や、行為の主体について 特徴付けできるものは、 ① 談合 ② 会社等の代表者の行為(不正貸付) ③ 火事・水害・カビ等による動産の毀損 ④ 国や地方公共団体が行った不正行為 2 損害の性質 ① 特殊な人身損害や動物の毀…

免責と時効

1 問題の所在 Xは、既に一度Yに対して訴訟を提起して勝訴の確定判決を得ており、 これによりXのYに対する連帯保証債務履行請求権(本件保証債権)の 消滅時効期間は右判決確定後10年に延びているが、Xの主債務者Aに対す る求償債権(本件債権)について5年…

扶養利益の喪失(逸失利益)

1 被害者の内縁の配偶者、相続を放棄した者等は、死亡した被害者の相続 人として損害賠償請求権を行使することはできないが、上記の扶養請求 権の侵害については、その固有の利益の侵害として賠償を請求すること ができる。 2 扶養利益 扶養を要する状態が…

否認の登記(法260条)

1 特殊登記説 否認の登記は、否認の効果の相対性を踏まえて、否認による物権変動と いう特別の物権変動を公示するために、破産法が特に認めた特殊な登記 であるとする考え方。 否認の効果は破産財団と受益者との関係で相対的に生じるにすぎない から,この…

遺言の預金の無断払戻し

1 遺贈の物上代位(民法999条) 2 遺贈の債権の物上代位(民法1001条)

所有権留保における留保所有権者に対する明渡請求等の可否(NBL10

◇最三判平成21年3月10日 1 問題の所在 所有権留保を抵当権と同様に扱うことができるか。 所有権留保においては、目的物の所有権は、形式的なものとはいえ留保 所有権者にあり、留保所有権者には、所有権に基づく一定の請求が認めら れている。 留保所有権者…

公共料金(個人)

一 上水道・電気・ガス 1 決定前6ヶ月 優先的破産債権(先取特権) 2 申立て 財団債権(法55条2項) 3 開始後 本人使用・・本人負担 管財人使用・・財団債権(法148条1項2号) 二 電話 1 優先的破産債権の扱いなし 三 下水道 1 決定1年前 優先的破産…

◇会社の自己に対する貸付金の記載のある決算報告書提出と債務承認 (最高裁S56.6.30判決)1 判旨 代表取締役として、自己に対する貸付金を記載した決算報告書の作成に 関与し、決算内容を承認してこれを会社に提出。その際に個人としても特に 異議を留保し…

船舶の先取特権

1.「漁船の売却」参照2.a.労働者(社会保険庁) b.最後の航海は注意

共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後になされた遺産分

1.家庭裁判所における事件処理は、遺産の果実を遺産とは別個の共同相続人間 の財産であることを前提に、遺産分割の対象に含めるか否かについては合意説 によっている。 2. 合意説 相続人全員が果実を遺産分割の対象に含めることに合意した場合に限り、 …

遺留分の算定と債務加算

◇相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合 において、遺留分の侵害額の算定に当たり、遺留分権利者の法定相続分に 応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否 (平21.3.24第三小法廷判決(判タ1295-175)) 1 相続人…

収益執行と敷金・賃料

1 給付命令送達前の賃料収受の可否 賃借人から任意に支払われた賃料については収受可能であるが、 管理人に対して支払いをする義務が本来ないことは明確に説明する 必要がある。 2 請求可能な滞納賃料の範囲 開始決定時に既に弁済期が到来した法定果実も管…

譲渡禁止の特約

◇ 譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は、債務者に譲渡の 無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない 限り、その無効を主張することは許されない。(最判21.3.27金法1870-44) 1 原告が、被告に譲渡した請負代金債権には…

民事再生手続におけるリース契約の処遇(最三判H20.12.16(NBL907-67

1 事案の概要 本件解除特約に基づき、本件リース契約を解除する、未返還のリース物件 の引渡しと約定損害金の支払いを求めた事案である。 2 従前の議論と本件の争点の位置づけ ① リース契約の法的性質・・最二判H7.4.14が金融契約説。 少なくともフルペイ…