普通預金の払戻拒絶措置(預金拘束ないし預金凍結)と不法行為

1 預金者の大口かつ重要な取引先であって、事実上きわめて密接な
 関係がある会社が民事再生手続開始の申立てをしたために、預金者
 の同会社に対する多額の貸付金債権の大部分が回収不能となる可能
 性が高くなり、そのため預金者は実質上の債務超過に陥り今後の事業
 の継続が困難になったとして、普通預金の払戻拒絶措置を取り、その
 後追加担保の提供もなかったことにより期限の利益喪失請求、貸付
 金との相殺の措置を取った銀行の行為が違法とはいえない。
(東京高判平21.4.23金法1875-76)


2 預金者について債権保全を必要とする相当な事由が生じたもので
 あり、


3 本件は、それが貸付先に対する不法行為となるかどうかが争われた
 ものである。


4 2件の裁判例
   ① 東京地判平3.2.18(金法1293-30)
   ② 東京地判平19.3.29(金法1819-40)