1 大規模な金融機関の具体的な店舗を特定することなく、
「複数の店舗に預金債権があるときは、預金債権額合計の最も大きな店舗の預金債権
を対象とする。なお、預金債権額合計の最も大きな店舗が複数あるときは、そのうち
支店番号の最も若い店舗の預金債権を対象とする。」としてされた預金債権の差押命
令の申立ては,差押債権の特定を欠き不適法である。
(最高裁平25.1.17第一小法廷決定)(判タ1836-182)
2 最三小決平23.9.20 判タ1357号65頁は、(いわゆる「全店一括順位付け方式」)
に関し、
(1)債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は、債権差押命令の送達を受けた
第三債務者において、直ちにとはいえないまでも、差押えの効力が上記送達の時点
で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに、かつ、確実に、差し
押さえられた債権を識別することができるものであることを要すること
(2)大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする
方式による預貯金債権の差押命令の申立ては、差押債権の特定を欠き不適法で
あることを述べて、当該事案における申立てを不適法とした。