2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

執行文の付与異議を認められた場合の処理

1.裁判所は執行文付与の取消しを命ずる。取消宣言には、取り消すべき執行文 を債務名義の事件番号・付与年月日等により特定し、それと同時に執行を 阻止するため、執行文の付与された債務名義の正本に基づく執行を許さない 旨の宣言を主文に掲げなければな…

相続放棄の係争

本来公証行為にすぎないので、相続放棄の要件具備を厳格に要求するのは 相当ではない。 債権者等は、訴訟等によって有効性を争うことができるが、一方、不受理審判 が確定すると、当該相続人は相続放棄の有効性について争えない。

◇ 賃借人が賃貸借契約の期間途中に契約を解約した場合についての違約金 条項、原状回復費用の請求権(東京地平成20.8.18金法1855)1.本件違約金条項の趣旨、違約金の額等を勘案の上、この条項の効力を 認め、破産管財人が破産法53条1項に基づいて解除する…

控訴審からみた離婚事件の基本問題(判タ1282-5)

1.財産分与 a.夫婦財産、すなわち、夫婦が協力して取得形成した財産がある場合には 配偶者の寄与貢献は平等であるとみて、二分の一の実質的持分を清算する ことは完全に定着した。 b.夫婦財産はすでになくなったが、一方配偶者所有の特有財産が相当の …

過払金返還請求権の再生手続における取扱い(NBL892-12)

1.過払金債権は再生債権であること、換言すれば共益債権にはならない (再生債務者と債権者の和解に基づく債権であるなどとして、民再法 119条5号の再生債務者等の行為によって生じた請求権に当たるとして、 共益債権として弁済するのは相当ではない。)2…

人傷保険と損害賠償請求権の関係

1.被害者は人傷保険金と損害賠償金を合わせて総額いくら取得できるか、 人傷保険会社は、どの範囲で損害賠償請求権を代位取得するか、人傷保険金 を先に取得した場合と損害賠償金を先に取得した場合とで総取得額に違いが あるか2. A 絶対説(保険者優先…

後遺障害受傷者が死亡

1. a.逸失利益(最判平成8.4.25) いわゆる「継続説」に立ち、 「交通事故の被害者が事故に起因する傷害のために身体的機能の一部を 喪失し、労働能力の一部を喪失した場合において、いわゆる逸失利益の 算定に当たっては、その後に被害者が死亡したとし…

清算価値保障原則(個人再生)

1.清算価値把握の基準時については個人再生では再生計画認可時。2.再生手続開始決定後再生計画認可時までに発生した財産の増減は、原則とし て、清算価値に影響を及ぼすことになる。3.入院費用の支出という行為は有用の資に充てるものであり通常は詐害…

上下水道・電気・ガスの使用料債権

1.破産手続開始前 ① 自然人 民法306条4号、310条の日用品の供給、一般先取特権、優先的破産債権 となる(破98条1項、3項) ② 法人 一般先取特権の対象にならず一般破産債権 ③ 破産法55条2項 同項かっこ書により、破産手続開始申立ての日の属する期間内の …

財団不足の場合における弁済方法

1.財団債権相互間の優先順位に関する上記各規定は、「破産財団が財団債権 の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合」において、いまだ 弁済されていない財団債権についてのみ適用されることになる(破152条1項)。2.上記規定を根拠に財団…

破産者が所持していた携帯電話の料金

1.破産法55条 管財業務遂行の便宜のために規定された側面を持っていることからすると、 管財業務に必要のない継続的供給契約についてまで、同条を適用すべきか という問題がある。2.立法経緯に鑑みると、同条の適用を受ける契約を、管財業務遂行に必要な…

相殺禁止の原則に対する例外「前に生じた原因」(破71条2項2号)

1.銀行と破産者と第三者との間で、第三者は破産者への支払について必ず銀行 にある同人の預金口座に振り込み、それ以外の方法では行わない旨合意する 振込指定の約定(いわゆる、強い振込指定。)2.銀行が支払停止等を知った後に第三者から振込があった…