過払金返還請求権の再生手続における取扱い(NBL892-12)

1.過払金債権は再生債権であること、換言すれば共益債権にはならない
 (再生債務者と債権者の和解に基づく債権であるなどとして、民再法
  119条5号の再生債務者等の行為によって生じた請求権に当たるとして、
  共益債権として弁済するのは相当ではない。)

2.潜在的過払金債権と自認義務
 ① 自認義務の問題の所在
 ② 自認債権の制度趣旨
   民再法における自認義務の根拠としては、管理型の更生手続とは
  異なり、再生手続は原則DIP型であり、手続を追行する債務者自身が
  手続の利益を得るにも関わらず、自らの知っている債権を失権させて
  までそのような事業再生の利益を得させるのは信義誠実に反する。

3.潜在的過払金債権の計画弁済条項(クレディア)
 ① 潜在的過払金債権の弁済条項が置かれている。これは、債権届出も
  自認もされていない債権に対する弁済を計画中で定めるという意味で、
  異例の条項。
 ② これらの債権は、再生債務者の自認義務がないことを前提にすれば、
  失権すべきものである(民再法178条・181条1項3号)
 ③ 債権者平等原則・清算価値保障原則
  a.債権者の実体法上の順位は同等である。
    ここで平等かどうかはあくまで実体法上の地位に則して決せられる
    べきであろう。
  b.これは、破産においては、債権届出のない債権者は配当から除斥される
    はずであり、そのような債権者を排除して受けられる清算価値を基準
    として、計画弁済額がそれを上回るかどうかを検討すべきとする
    考え方である。
    実質的に考えれば、他の債権者の懈怠に基づく配当の増加分はいわば
   「棚ぼた」的利益であり、清算価値としての保護には値しないという
   議論も十分可能であるように思われる。