控訴審からみた離婚事件の基本問題(判タ1282-5)

1.財産分与
 a.夫婦財産、すなわち、夫婦が協力して取得形成した財産がある場合には
  配偶者の寄与貢献は平等であるとみて、二分の一の実質的持分を清算する
  ことは完全に定着した。
 b.夫婦財産はすでになくなったが、一方配偶者所有の特有財産が相当の
  規模において存在する場合には、同配偶者の所有財産の維持存続について
  他方配偶者が減少防止などの寄与貢献をしたものと認められるとき、
  この寄与分清算すべきであると解する(民法768条3項)。
   この点は、二分の一推定論を適用する外延における争点であり、同
  推定論はいわゆる夫婦財産の存在する事案における強い推定として機能
  しているにすぎない。