2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

近親者の慰謝料

1 死亡慰謝料では、死者の慰謝料請求権を相続する構成をとっても、近親者固有 の慰謝料請求の構成をとっても、慰謝料の総額は変わらないとされるのに対し、 後遺障害慰謝料では、本人の慰謝料とは別途に、すなわち、慰謝料総額を増額 する形で近親者固有の…

保証人がいる場合の債権認否

1 破産手続開始決定前に保証債務を履行済みの場合の認否 ア.債権者は、保証人からの履行により減額された債権で破産手続 に参加する。 2 保証人の将来の求償権の認否 ア.保証人のみが届出をし、債権者が一般債権調査期日終了までに債権 届出をしなかった…

遺留分

1 判決要旨(判タ1317-124) 遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者が、民法1041条所定の 価額を弁償する旨の意思表示をしたが、遺留分権利者から目的物の現物返還 請求も価額弁償請求もされていない場合において、弁償すべき額の確定を 求める訴え…

システム開発契約の問題点(判タ1317-5)

1 当事者の一方と他方とがシステム開発という共通の目的に向けて協働する といういわば「共同型」の契約 2 当事者の一方が他方にシステム開発を注文あるいは委託(委任・準委任) をし、他方がこれを請け負い、あるいは、委託するといういわば「対向型」 …

陳述書(判タ1317-52)

1 陳述書の機能 ① 主尋問代替・補充機能 ② 事案提示機能 ③ 争点整理機能 ④ 証拠開示・反対尋問準備機能等 2 陳述書の内容のうち、周辺的な事情や形式的事情については、短時間の確認 的な尋問とどめるのが相当であるとしても、実質的争点事項にわたる部分…

共同相続人の一人が相続財産を占有する場合と明渡(諸問題388頁)

1 共有者は、持分に応じて共有物の全部を使用できる(民249)ので、 相続財産を占有する相続人(以下「占有相続人」という。)は、他の 相続人から明渡しの理由が共有持分である場合は明渡しを命じられる ことはない。 2 最高裁昭和41年5月19日判決 「右の…

1項2号の請求権と租税債権

1 破産手続開始の決定後に破産手続に関連して生じる租税債権であっ ても、かかる費用性が認められないものは2号に該当せず、劣後債権 となる。 2 財団所属財産の管理や換価から直接生ずる租税債権 財団所属財産に課される固定資産税、都市計画税、償却資…

財団債権と原状回復請求権(大阪地裁Q46)

1 破産手続開始後に賃借人の管財人が解除を選択する場合には、明渡し のための原状回復請求権を財団債権(破産法148条1項4号又は8号)になる と解する見解が多い。 2 原状回復請求権の原因となる毀損行為や設備設置行為などの発生時期が すべて手続開始の…