システム開発契約の問題点(判タ1317-5)

1 当事者の一方と他方とがシステム開発という共通の目的に向けて協働する
 といういわば「共同型」の契約


2 当事者の一方が他方にシステム開発を注文あるいは委託(委任・準委任)
 をし、他方がこれを請け負い、あるいは、委託するといういわば「対向型」
 の契約。
  システム開発が終了した後にも注文者ないし委託者との契約関係ないし
 法律関係が存続する場合がみられるので、企業間提携契約の一つとして、
 その法的諸問題を検討するのに適しているからである。


3 要は、対向型であっても、共同型であっても、契約の内容が確定的なもの
 、完結的なものとして据え難いものであることに根本的な原因があるので
 はないかと思われる。契約完了後紛争型では、仕事の完成の判断の困難さ、
 あるいは、瑕疵の有無の判断の困難さに、そして、契約継続中紛争型では、
 双方の協力関係の必要に繋がっているだけでなく、契約締結時紛争型では、
 契約の効力となって顕現するということができるのではないかと解される。


4 契約内容の確定度、完結度を契約締結の段階性に応じて、すなわち、
 契約内容が段階的に確定し、完結していくその各段階ごとに、契約内容を
 一義的に明確にしておくことが求められる。
  その契約内容は、これを契約締結の段階から契約の終了まで固定的に把
 える必要もなく、流動的に把えるほうが、システム開発契約をめぐる紛争
 の解決に際して、裁判基準となり得る契約条項を裁判官に提供することが
 できるはずである。


5 当該契約が何を目的とし、何を予定して締結されたものであるのかを
 契約締結の各段階ごとに一義的に捉えることができる契約内容の策定に
 当事者双方が努める必要がある。