収益執行と水道(判タ1319-18)

1. 通常、賃貸マンション等では、受水槽方式などにより、1個の給水装置による給水がされていて、所有者と水道供給者との間で一括供給契約が締結されていることが多い。

2. 収益執行において管理人自身が水道供給契約上の地位を得ることが不可欠とはいえないから、収益執行開始決定により、所有者の水道供給契約上の地位が剥奪されるとは解されず、管理人は水道供給者との関係で、同契約に基づく水道利用料の支払義務を負わない。

3. 収益執行開始後に一括供給契約により発生する水道利用料は、厳密には、共用部分にかかわる水道利用料と各戸にかかる水道利用料に区別され、少なくとも、前者については、管理人が対象不動産の使用権限を得ている以上、所有者との関係においては管理人が支払うべきといえる。

4. 管理人は、善管注意義務の一内容として、所有者及び賃借人との関係において、水道供給者に水道利用料を支払うべき義務を負うと考えられる。

5. なお、水道以外の電気、ガス等のライフラインについては、通常、各戸毎に供給契約が締結されており、これらについて収益執行の開始による影響を顧慮する必要はない。

6. 共用部分にかかる電気供給等に関しては、所有者が供給者と供給契約を締結しているから、これらの所有者が契約当事者となっている契約関係については、水道供給契約について述べたところが妥当