2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

転貸賃料債権と物上代位 (判例解説)

1.抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位を行使することができない。(最判平成12年4月14日) 2.抵当不動産の賃料債権に対する物上代位を価値権説の立場から説…

財団放棄後の不動産と管理費と免責

1.買受人が、区分所有建物が破産財団から放棄された後、買受人がこれを取得するまでに発生した管理費等について破産者に対する求償が認められた事例(判時2135-56)(東京判23.11.16)(上告審)(一審町田簡裁) 2.原審は、求償に係る管理費等を、その…

東京地裁破産再生部における牽連破産事件の処理の実情 その2 (判タ1362-4,1363-30)

(処理の実情) 第五 通常再生事件の牽連破産等の処理の実情 1 保全管理命令 (1)発令される場合 (2)保全管理人の権限 (3)事業譲渡 (4)会社分割 2 破産手続開始決定等 (1)開始日 (2)債権調査留保型の採用 (3)みなし届出の採否 (4)管財人室の設置,管財人専用…

東京地裁破産再生部における牽連破産事件の処理の実情 その1 (判タ1362-4,1363-30)

(目次) 第一 はじめに 第二 牽連破産事件の種類等 第三 統計の概観 第四 牽連破産事件の処理の流れ 第五 通常再生事件の牽連破産等の処理の実情(処理の流れ) 第四 牽連破産事件の処理の流れ 1 通常再生事件(特に法人)の牽連破産 (1)破産再生部と監督委…

作成担保文言と議事録作成者の記載

1.会社法においては、出席した取締役の議事録への署名(記名押印)義務はない。2.議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名が法定記載事項とされているのみで(会規72条3項6号)、当該取締役の署名(記名押印)も義務づけられていない。3.もっとも…

賃貸人の死亡と供託

1.債権者が死亡し、相続人が不明のため債権者を確知し得ないという事由で供託する場合には、被供託者の表示を「住所何某の相続人」とするのが相当である。この場合には、相続人の有無及び相続放棄の有無などを調査する必要はない(昭和37.7.9民事甲1909号民…