2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

吸収分割と対抗要件

吸収分割の際には、いかなる権利義務を包括承継するかは当事者の 自由なので、第三者にはいかなる権利義務が譲渡されたか分からない。 また、分割会社が存続するので、二重譲渡のおそれがあり、かかる 場合に常に吸収会社の方が優先するとしては、第三者の取…

民法94条2項

1.判例は、文言通り善意のみを要件としている。2.通説も同様である。3.無過失を要求しない理由は、当事者が意図的に虚偽表示をしている のに、第三者が保護されるために虚偽表示の有無についての調査義務 を課されるのは妥当ではないというものである…

無償否認(160・3項)

1.詐害行為と偏頗行為を崚別する新法の趣旨から、既存の債務に 対する無償の担保設定行為については本条項の適用はなく、専ら162条 の問題として処理すべきである。2.対価性を有する行為のうちの相当額を超える部分だけを取り上げて 無償否認の対象にす…

形式的競売と裁判所の許可

強制執行の手続を利用する換価は手続の適正さ及び換価価格の公正さ が制度的に担保されていることから、任意売却とは異なり、裁判所の 許可は必要とされていない(法184)。

◇ 再生手続中に再生債務者である賃借人が不動産賃貸契約を中途解約 した後、再生手続が廃止されて破産手続が開始された場合の財団債権 の範囲(金法1864-36)東京地裁H20.11.10判決 1 各賃貸借契約には次のような中途解約違約金条項と賃料相当損害 条項があ…

弁済業務保証金の還付と認証業務

1.弁済業務保証金の還付を受ける権利を有する者が、その権利を実行 しようとするときは、営業保証金の還付請求の場合と異なって、弁済を 受けることができる額について、当該保証協会の認証を受けなければ ならない。2.認証とは、保証協会が弁済業務保証…

収益執行と火災保険

1.管理人は、収益執行対象物件の価値を維持・保存するために、管理行為 の一環として、管理人の権限で管理人名で火災保険契約を締結することが できる。2.保険料は管理の必要経費として支出することができる。3.大阪地裁の取扱い ① 所有者(債務者)が…

物上代位のある差押と不動産の任意売却

一、 1.弁済期が到来していると、前家賃の場合、翌月分も物上代位の効力が 及ぶ。 2.よって、4月決済の場合は、6月分は取得できない可能性がある。 二、 1.弁済期既到来で回収可能な場合、未了の場合、差押の解除が出来ず、 新所有者が、たとえば、…

保険会社の損害賠償請求権の保険代位と被代位債権の消滅時効

◇福岡高裁 平10.6.5判決(判タ1010-278)1.起算日を右請求権を行使するための要件が整った保険金の支払日と 解すべきか。2.保険者は、保険給付の時点で、被保険者である被害者の加害者に対する 損害賠償請求権をその実体法上の権利の性質を変更すること…

宅建の保証金

1.退会届出と会内手続での退会処理の2つの方法がある。2.多数の弁済の申出がある場合は、期限の到来の関係があるので会内手続 で処理をしてもらう。3.請求の趣旨・原因 ① 被告は、原告に対し、原告の平成○年○月○日付け宅地建物取引業 法64条の8第…

請負建物の所有権の帰属 請負人が材料を提供した場合

1.① 判例は、古くから完成された建物の所有権は、原始的に請負人 に帰属し、引渡しによって注文者に移転する。 ② 注文者が材料の全部又は主要部分を提供した場合や、請負人が 材料を提供した場合でも、注文者がその購入代金を供給したと きには、完成され…