◇ 再生手続中に再生債務者である賃借人が不動産賃貸契約を中途解約
 した後、再生手続が廃止されて破産手続が開始された場合の財団債権
 の範囲(金法1864-36)東京地裁H20.11.10判決


1 各賃貸借契約には次のような中途解約違約金条項と賃料相当損害
 条項がある。
  ① 中途解約違約金条項
     賃料(月額の6ヶ月分相当)を解約金として支払う。

2 請求
  ① 上記の各賃貸借契約上の中途解約違約金
  ② 各店舗の明渡しまでの賃料相当損害金
  ③ 原状回復工事代金の立替費用

3 本件中途解約申入れは賃貸借契約に基づくものであり、中途解約
 違約金支払義務が発生し、これは「再生手続開始後の再生債務者の
 業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」
 (民再法119条2号)に当たり、牽連破産後は財団債権となると主張
 した。

4 本件の事実関係のもとでは本件中途解約申入れは民再法49条1項
 の法定解除権の行使であると認定判断し、中途解約違約金請求権が
 発生するとしても、それは再生債権であり共益債権でないから
 (民再法49条5項)

5 賃貸借契約終了後から破産手続開始までの間の不当利得については
 民再法119条6号、破産法252条6項により財団債権とし、破産手続開始
 後から明渡し完了までの間の不当利得については、破産法148条1項5号
 により財団債権となる。