2021-01-01から1年間の記事一覧

民法上の配偶者が中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない場合(最第一小判令和3年3月25日判タ1488号89頁)

1 民法上の配偶者は、その婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みのない場合、すなわち、事実上の離婚状態にある場合には、中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない。 2 Xは、Aとその民…

自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例(最第一小判令和3年1月18日判タ1486号11頁)

1 遺言者が、入院の日に自筆証書による遺言の全文、同日の日付及び氏名を自書し(4/13)、退院して9日後(全文等の自書日から27日後 5/10)に押印した等判示の事実関係の下においては、同自筆証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されて…

不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより配当要求債権について差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるための要件(最第二小判令和2年9月18日判タ1481号21頁)

1 不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより、上記配当要求における配当要求債権について、差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)…

請負人である破産者の支払の停止の前に締結された請負契約に基づく注文者の破産者に対する違約金債権の取得が、破産法72条2項2号にいう「前に生じた原因」の基づく場合に当たり、上記違約金債権を自働債権とする相殺が許されるとされた事例(最第三小判令和2年9月8日判タ1481号25頁)

1 請負人である破産者Aが、その支払の停止の前に、注文者Yとの間で複数の請負契約を締結していた場合において、上記の各請負契約に、Aの責めに帰すべき事由により工期内に工事が完成しないときはYが当該請負契約を解除することができるとの約定及び同約定に…

被用者が使用者の事業の執行について第三者に加えた損害を賠償した場合における被用者の使用者に対する求償の可否(最第二小判令和2年2月28日判タ1476号60頁)

1 被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、使用者の事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮…