1項2号の請求権と租税債権
1 破産手続開始の決定後に破産手続に関連して生じる租税債権であっ
ても、かかる費用性が認められないものは2号に該当せず、劣後債権
となる。
2 財団所属財産の管理や換価から直接生ずる租税債権
財団所属財産に課される固定資産税、都市計画税、償却資産税、
自動車税等、換価にともない直接生ずる租税の例としては、消費税
や登録免許税等がある。
3 破産財団の管理または換価により生ずる所得に係る個人の所得税
破産財団に係る不動産の賃料収入や、資産の売却に係る収入にと
もなう所得の発生に関して所得税がありうる。資力を喪失した者の
資産の譲渡にともない生ずる所得は、非課税所得とされており、
その他の所得についても、所得税は、自由財産に係る所得をも含め
た総所得に関して課されるものであるところから、通常は、破産財
団に関して生ずる所得税は生じない。
4 消費税
事業者の破産管財人による換価行為は、「事業として」の反復性
と継続性が存しないのではないかとの見解も存するが、「事業者」
の清算のための行為も「事業性」を帯びると解されるのであって、
破産管財人は、当該事業者が納税義務免除事業者(消税9など)で
ないかぎり、納税義務を負担するものである。
5 法人住民税
均等割は、法人として存続しないかぎり所得の有無にかかわらず
課せられるものであり、破産法人も、破産手続が終了するまでは、
清算の目的の範囲内でなお法人として存続するものであるから、2
号の管理に係る費用に該当するものというべきである。