倒産申立て解除条項 ファイナンス・リース契約における民事再生申立

◇金法1876-44

1 本判決
  「民事再生手続の中で債務者の事業等におけるリース物件の必要性に
 応じた対応をする機会」を失わせる事前合意は無効と判断した。この
 機会を再生債務者に与えることは民事再生法の強行法規であるとの判断
 である。


2 この機会とは、リース物件「担保」説に立つ以上、①必要性があるか
 否かの判断をする機会、②必要性あると判断した場合に別除権協定の申出
 をする機会、③別除権協定で合意できない場合に担保権消滅許可申立て
 をする機会と考えられる。


3 これらの機会を「不相当に」消滅させる「債務不履行解除(担保権の
 実行)」も、民事再生法の強行法規部分に反するとして無効と解する
 余地がある。
  ① 特約に基づく早期の債務不履行解除
     これらの特約に基づくリース契約の早期の債務不履行解除が、
    「民事再生手続の中で債務者の事業等におけるリース物件の必要
    性に応じた対応をする機会」を「不相当に失わせる」ときは、当該
    解除は、民事再生法の強行法規部分に反するとして無効と解する
    余地があると考える。


4 民事再生手続開始決定後の解除
  補足意見は、開始決定後は、リース業者は別除権者としてその実行手続
 としてのリース契約の解除手続等を執ることができることとなるという。
  再生債務者が、必要性に応じた対応をする機会を真剣に検討している
 場合は、それに要する通常の期間内(開始後2ヶ月程度)は、債務不履行
 解除は、民事再生法の強行法規部分に反するとして、無効と判断される
 余地があると解する。