1 手形保証とは、振出人、引受人などの手形債務を保証するために、保証
であることを表示して手形上に署名することをいう。
手形保証は手形または補箋にしなければならない。
2 手形保証は、「保証」その他これと同一の意義を有する文字をもって表示
し、かつ誰のために保証するか被保証人の名称を表示することが必要である。
3 ただし、手形の表面に「保証」の趣旨を示さない単なる署名(略式保証)は、
支払人または振出人の署名を除き、振出人のための保証とみなされる。
4 保証人は保証せられた者と同一の責任を負う。手形保証の従属性を定めた
ものである。
5 遡求義務者のために手形保証をした者は、所持人が適法に権利保全手続を
履践したときにのみ責任を負う。それに対して手形の第一次的義務者のため
に手形保証をした者は、所持人が遡求権保全手続を履践しなかったとしても
責任を免れない。
6 手形保証も手形行為の一種であるから、手形法7条の定める手形行為独立
の原則の適用がある。手形法32条2項は、保証はその担保した債務が方式の
瑕疵を除き、他のいかなる事由に因りて無効なるときといえどもこれを
有効とする、と定め、手形保証の独立性を明定したと一般に説かれている。
7 そうすると、手形保証の独立性は、保証債務の発生の面で機能すること
になる。すなわち、主たる債務が、制限能力、署名の偽造、無権代理、
仮設人の署名などのため、名義人に有効な手形債務が発生していなくても
、手形保証人の債務は手形文言に従って発生することになる。