◇会社の自己に対する貸付金の記載のある決算報告書提出と債務承認
(最高裁S56.6.30判決)
1 判旨
代表取締役として、自己に対する貸付金を記載した決算報告書の作成に
関与し、決算内容を承認してこれを会社に提出。その際に個人としても特に
異議を留保した事跡はない。
決算報告書に記載された自己の債務の存在を承認したものと解するのが
相当。
2 債務の承認とは、その権利の存在を知っていることを表示すること。
表示は時効によって権利を失うべき権利者に対してなさなければならないが、
その方法は明示たるとを問わない。
3 決算報告書の作成と取締役会等への提出は代表取締役としての代表行為
の側面のほかに個人の行為たる側面をも事実上有した。