再生手続の終結

1 「再生計画が遂行されたとき」の意義
  民事再生法189条1項2号は、再生債権に対する弁済の履行を「再生
 計画の履行」と表現しているが、「再生計画の遂行」はこれとは別の
 概念であり、再生計画に定められた再生債権に対する弁済の履行に
 限られない。


2 再生計画中に、株式の併合、資本金の額の減少、定款変更に関する
 条項(民再154条3項)、譲渡制限自己株式の処分に関する条項(同条
 4項)等の必要的記載事項が記載されている場合は、これらが実現
 しないうちは再生計画が遂行されたとはいえない。


3 共益債権又は一般優先債権の未履行があるが再生計画に基づく再生
 債権の弁済が完了している場合、「再生計画が遂行されたとき」に
 該当するか否かである。
  ① 再生計画中に共益債権又は一般優先債権について具体的な
   弁済期限を定めた場合は、その内容が再生計画の一部を構成する
   ことになるので、弁済期限までに弁済がなければ「再生計画
   が遂行された」とはいえないと解される。
  ② 随時弁済する旨定めていた場合、どのように解するべきか。
    共益債権や一般優先債権の金額や再生債務者の資産状態から、
   将来的にみてこれらの債権に対する弁済ができないことが明らか
   であれば、たとい再生債権に対する弁済が完了していても「再生
   計画が遂行された」と認めることはできないと解される。