他企業の労働者の利用形態

1 業務処理請負
 ① ある企業(請負企業)が他企業(発注企業)に対してその一定業務
   の処理を請け負い、この請負業務を遂行するために自己の雇用する
   労働者を発注企業の事業場において自己の指揮命令下に労働させる
   ことをいう。
 ② 労働者に対する指揮命令は請負企業が行い発注企業は行わない。
 ③ 請負労働者はあくまでも請負企業の雇用する労働者である、しかも
   その発注企業における就業も、請負企業の請負業務を請負企業の
   指揮命令を受けて行うというものにすぎない。
 ④ 労働契約上も労基法その他の労働保護法上も使用者としての責任を
   負うのは請負企業のみであり、発注企業には責任が生じない。
 ⑤ 発注企業は請負労働者に対し労働の場所を提供していることから、
   そのかぎりにおいて安全配慮義務を負うことがありうる。


2 労働者派遣
 ① 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮
   命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、
   当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してす
   るものを含まないものとする。
 ② 労働者派遣は、自己の雇用する労働者を他人のために労働させる点
   では業務処理請負と類似するが、当該労働者を他人の指揮命令に
   に服せしめる等の点でそれと区別される。
 ③ 出向の場合には、労働者は出向元企業との労働契約関係を維持しつつ
   出向先企業との全面的または部分的労働契約関係に入る。