貸金業者が借主に貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為と不法

1 貸金業者が借主に対し貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が
 不法行為を構成するのは、貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠
 を欠くものであることを知りながら、または通常の貸金業者であれば容易
 にそのことを知り得たのに、あえてその請求をしたなど、その行為の態様
 が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られ、その理は、当該
 貸金業者が過払金の受領につき民法704条所定の悪意の受益者であると推定
 されるときであっても異ならない。(金法1885-32、最判H21.9.4)


2 平成19年7月13日判決は、貸金業者が、みなし弁済規定の適用要件を満たす
 ことを前提に制限超過利息を受領している以上、同規定に係る法令の解釈
 適用については十分に理解していてしかるべきであるとの価値判断に基づき、
 本来、事実概念である悪意について、通常の場合、当該貸金業者が法律上の
 原因のないことを基礎付ける事実を認識していれば悪意と評価することが
 相当であるとの規範的評価を取り入れたものと考えられる。


3 不当利得の適用場面において当該貸金業者が悪意の受益者と推定される
 としても、そのような規範的評価は不法行為の適用場面にまで妥当するも
 のではなく、不法行為を当然に構成することにならないことをいうものと
 解される。