成年後見人等の財産に関する権限と限界(小西洋 東京家庭裁判所判事)(判タ1406号16頁)

1 成年後見人等の財産に関する権限と限界について家庭裁判所の立場から説明する。
  説明にあたっては、筆者が日頃、成年後見人等からの問合わせに対して回答する際の思考の順序を意識した。
2 後見開始の審判前の保全処分として選任される財産の管理者(家事事件手続法126条1項)や、本人死亡後の事務を行う場合、あるいは、相続人に対する財産の引渡しが困難な場合に選任される民法918条2項の相続財産管理人についても、権限内の行為であるか問合わせをされることがある。この場合には、不在者財産管理人の権限と同様であると回答している。問合わせの多い例として預貯金の払戻権限があるが、相続人不分明の場合の相続財産管理人(民法952条1項)と同様、権限内の行為と解している。(この点、「東京家裁後見センターにおける成年後見制度運用の状況と課題」判タ1165号75頁の説明を変更している。)