1 破産手続が終結した後における破産者の財産に関する訴訟については、
当該財産が破産財団を構成し得るものであったとしても、追加配当を予定すべき
特段の事情がない限り、破産管財人は被告適格を有しない。
最高裁判決 平成5年6月25日(判例タイムズ855号176頁)
2 ただし、破産手続が終結した場合には、原則として破産者の財産に対する
破産管財人に管理処分権限は消滅し、以後、破産者が管理処分権限を
回復するところ、例えば、破産終結後、破産債権確定訴訟等で破産債権者が
敗訴したため、当該債権者のために供託していた配当額を他の債権者に
配当する必要を生じた場合、又は破産管財人が任務をけ怠したため、
本来、破産手続の過程で行うべき配当を行うことができなかった場合など、
破産管財人において、当該財産をもって追加配当の対象とすることを予定し、
又は予定すべき特段の事情があるときには、破産管財人の任務はいまだ終了
していないので、当該財産に対する管理処分権限も消滅しないというべきで
あるが、右の特段の事情がない限り、破産管財人の任務は終了し、
したがって、破産者の財産に対する破産管財人の管理処分権限も消滅すると
解すべきであるからである。
3 旧破産法283条1項後段は、破産終結後にも追加配当が行われる場合が
あることを予定しているので、追加配当の必要がある限り、
すなわち、追加配当の目的となるべき残余財産が存在すれば、
その追加配当を行うべき者は破産管財人であるから、破産管財人の
任務はなお残り、その範囲で、破産者が財産の管理処分権を回復する
ものではなく、破産管財人が管理処分権を有する。