債権認否

1【債権認否】
(1)別除権が根抵当権である場合

  根抵当権も、配当手続を除いて、通常の抵当権を同様に別除権となるので、
  通常の抵当権と同様に認否をする。
  ただし、配当手続において通常の抵当権を異なる扱いを受け、最後配当時に、
  配当許可があった日における当該破産債権のうち極度額を超える部分の額で
  配当加入できる(法198(3)-4参照)ため、誤配当の防止や当該破産債権者へ
  の注意喚起のために、認否書備考欄に「配当加入には、担保不足額の証明
  等を要する。極度額○○円」などの記載を求める庁もある。


(2)破産者から第三者名義に移転された不動産について、当該所有移転行為が
  否認の対象となり得る場合に、当該不動産が破産者所有であった頃に担保権
  を設定した債権者が、被担保債権を一般債権として届け出た場合 
 
  一般債権として届出債権を認める認否をすると、後に、否認権行使の結果、
  当該不動産が破産財団に回復した場合でも、別除権付破産債権であるにも
  かかわらず確定不足額の証明等がないとして配当から排斥できなくなるので、
  否認権行使の検討が終了するまでは認否を留保することもある。
 

2 【マンションの滞納管理費等】

(1)破産手続開始決定前に発生しているマンションの滞納管理費及び修繕積立金等の
  債権(以下「滞納管理費等の債権」という。)は、建物の区分所有等に関する
  法律7条による特別の先取特権を有し、別除権付破産債権である(法2-9)

  ただし、滞納管理費等の債権は以下の理由から配当加入することは少ない。
  ア)破産管財人がマンションを任意売却する場合、破産管財人が裁判所の
    許可を得て、管理組合(債権者)に対して滞納管理費等を財団債権とし
    て支払うか、本来の売買価格から滞納管理費等を控除した売買価格とす
    る代わりに買受人が管理組合に支払い、管理組合に届出債権を取り下げ
    てもらうことが多い。

  イ)マンションを破産財団から放棄し、競売手続で競落された場合、
    競落人が滞納管理費等を支払い、管理組合に届出債権を取り下げてもら
    うことが多い。

(2)破産手続開始決定後の管理費等は、マンションを破産財団から放棄するまで
  の分については、法148条1項2号の財団債権となる。