無権代理人の責任と注意義務の程度についてのダブルスタンダード(金法1852-4)


1.無権代理人の責任と相手方の過失に関しては、本人との関係では、
 相手方の代理権確認に過失があるとしても、無権代理人との関係では
 相手方に民法117条2項の過失はないと解することの可能性を論じる学説。

2.一定の無権代理人については、信義則上相手方の過失を主張し得ない
 とする考え方。

3.無権限で本人の署名をして、私文書偽造をしたような者に対して、
 相手方の過失を理由に責任を免れる結果が妥当でないことは言うまでもなく、
 その意味では本件判決のような表見代理の成立における正当理由とは
 異なる基準を用いた相手方の救済は、具体的妥当性を導く。