葬式費用

1. 相続人負担説


2. 相続財産負担説
民法306条、309条は、経済的に困窮している者にも身分相応な葬式を営むことを可能にするべく、相続財産がその担保となる旨を規定したにとどまるものであって、葬式費用の最終的負担者を決定する基準とはならないとする批判が可能。


3. 喪主負担説
葬儀の費用は相続債務とみるべきではなく、葬儀を自己の責任と計算において手配等して挙行した者(原則として喪主)の負担となると解すべきであるとする。


4. 相続財産の負担とする説に従えば、葬式費用は遺産分割手続の中で処理する余地がある


5. 裁判例は、葬式費用の遺産分割での処理の可否については、理論的というより実際的な考慮からこれを決しており、つまり分割の対象となるべき遺産が葬式費用に充当されている場合は、遺産分割を複雑化しないために葬式費用を相続財産の負担とするとの解釈が採用されることが多く、相続人の一人が個人的に支出している場合には、これも遺産分割を複雑化しないように、相続財産の負担とすることを否定して、個人間で別途に求償すべきであるとされることが多いとの指摘がなされている。


6. 香典
葬式費用を負担する者に対して、葬式費用に充当すべくなされた贈与。


7. 葬式費用の負担につき、実質的に葬儀を主催した者が葬式費用を負担すると解する以上、香典も同人に対する贈与とみるべきであり、余剰があったとしても、同人に帰属するのであって、遺産として相続人らに帰属すると解すべきではない。