◇◆中小企業退職金共済による給付額が、退職金規定で算出されている
  退職金額を上回っている場合に、その差額を退職労働者から返還さ
  せるとの合意の効力◇◆

1.企業が負担している共済金掛金を給与の一部と考えたとするとその
 対価としての共済金の一部を返還させることになり、給与全額払原則
労働基準法24条)との関係での疑問

2.東京高判平成17年5月26日労働判例898号31頁の判旨
  被共済者の利益を保護しようとする中小企業退職金共済法は、強行
 規定であると解するのが相当。
  合意は解約金のうち返還対象となる部分について会社が従業員を介
 して機講からその支給を受けること、又は会社が従業員から当該部分
 の受給権の譲渡を受けることを約したに等しいものであり、中小企業
 退職金共済法5条・10条1項・16条及び同法に基づく中小企業退職金共
 済制度の趣旨を潜脱する強行法規違反である。