相続資格の重複

1 実親が嫡出でない子を養子とし、あるいは祖父母が孫を養子にすると、自然血族関係に加えて法定血族関係が重複して発生する。


2 実子と養子が婚姻すると、配偶者のほか兄弟姉妹という関係が重複して発生する。


3 相続資格の重複には、(1)同順位相続資格の重複と(2)異順位相続資格の重複との二つの類型がある。


4 実親が嫡出でない子を、あるいは祖父母が孫を養子にする場合及び実子と養子が婚姻した場合は前者の類型であり,そこでは、相続権の競合の問題が生じ、相続人は二重の相続権を取得するかという問題が生ずる。


5 後者の類型としては兄が弟を養子にした場合があり、この場合は、弟は養子として第1順位の相続権があり、弟としての相続権より先順位で相続するから、相続権の競合の問題は生じないが、一方の資格による相続のみを放棄して他方の資格で相続することができるか、あるいは一方の相続資格についての欠格ないし廃除の効果が他方のそれにまで及ぶかという問題が生ずる。