相続分の譲渡

【1】 相続分の譲渡による手続の脱退
(1)当事者全員は,被相続人の相続人が申立人A,相手方B,同C及び同Dの4名で
  あること,相手方Dはその相続分を相手方Cに譲渡して本手続から脱退したこと,
  Dの相続分譲渡により本件遺産分割の当事者はDを除いたABCであることを確認
  する。

(2)相続分の譲渡により手続から脱退した場合,残存当事者間において相続分の
  譲渡を争う余地を封ずる必要性があるので,確認条項を記載する意味がある。

(3)調停調書の当事者欄には,脱退前申立人(相続分譲渡人)と記載する。


【2】 申立人以外の当事者が相続分を申立人に対し譲渡したことにより、申立人1人
  のみが当事者になった場合

(1)
 1.被相続人の遺産は、別紙遺産目録のとおりであるが,脱退前相手方がその
  相続分を譲渡したことにより,各遺産は遺産分割を要せずに,申立人の
  単独所有となったことを確認する。

 2.本件申立てを取り下げる。

(2)申立人1人のみが当事者になった場合には,合意を前提とする調停は
  成立しないが,実務においては上記条項による登記も可能である。





 

不動産の心理的瑕疵 (No.392)

1 不動産取引における心理的瑕疵に関する裁判例
(1)古家利用付き土地・建物売買
(2)建物取り壊し前提の土地・建物売買
(3)建物取り壊し後の土地売買
(4)マンション(一棟もしくは一室)やビルの売買
(5)賃貸人の責任
(6)賃借人らの損害賠償義務
(7)競売事例

2 心理的瑕疵による減価率の査定手法
(1)判断基準
(2)減価率の査定

3 心理的瑕疵のある不動産の実務上の取扱い
(1)原状回復ガイドライン
(2)保険の紹介

賃借人らの損害賠償義務

1 東京地判平13.11.29
(1)賃料が半分になる2万4000円の10年分で280万円の支払いを求めた。

(2)こういう心理的瑕疵というのは年月の経過と共に希釈され、薄まっていくので、
  建物が仙台市という大都市にある単身者用のアパートだということを考えると、
  二年程度経過すればもう瑕疵と評価することはできなくなるということで、
  その差額分、2万円の二年分の賃料。


2 東京地判平19.8.10
自殺事故から一年間賃貸できない分、二年間はそれまでの賃料の半分で
しか貸せない。
三年後には前の月額賃料と同じで貸すようになった。
三年間の請求しか認めなかった。


3 東京地判平22.9.2 判例時報2093号87頁
賃貸不能期間が一年、賃料半額期間が二年


4 まとめ
賃貸借というのは期間的には大体二年から三年