1.後見人が、自己の直系卑属である未成年者被後見人を養子とするため、
民法794条の養子縁組許可を申し立てた場合、裁判所は、当該被後見人
の財産的地位に対する危険を排除するという観点から当該養子縁組の
当否を吟味すれば足り、子の福祉確保の観点からその当否を審査すべき
ではない。(大阪高裁平19.9.20)
2.① 未成年被後見人Bの後見人であるA(実祖母)が、Bとの養子縁組
の家裁許可を求めた事案
② Bの実父は、AにBを養育したいと申し入れるなどして将来の養育
意欲を示していた。
③ 原審判は、実父が親権者となる余地を閉ざすのは相当でないから、
本件の養子縁組がBの福祉に適うものということはできないとして
、申立てを却下したため。
④ 実父は、将来Bを引取りたいとして、Aとの養子縁組に反対して
いた。
3.民法798条は、未成年者を養子とするには家裁の許可を得るべきことを
定めるが、同条ただし書きは未成年者が自己の直系卑属であるときは、
そのような縁組が未成年者の福祉に反するようなことは通常生じない
であろうとの政策判断から許可を不要と定めており、本件は、Aが自己
の直系卑属を養子とする場合であるから、Bの福祉確保の観点から縁組
の当否を審査する必要はなく、財産管理上の問題が認められない場合
には許可を付与するのが相当とした。