1.最二小決平16.10.29は、養老生命保険契約に基づく生命保険金又は保険金
請求権は、原則として特別受益にあたらないとしながら、共同相続人間にお
いて極端に不公平が生じる場合には、事案に応じて民法903条の類推適用に
より持ち戻しを認める
2.平成16年決定以後の判決
① 東京高決平17.10.27
a.遺産の総額に匹敵する巨額の利益を得ており、被相続人夫婦の扶養
や療養介護を託するといった明確な意図とともに上記変更がなされ
たと認められることも困難であることから、特段の事情が存すること
が明らか。
b.持ち戻し免除について、生活保障の趣旨で上記保険金を付与したとは
考えがたく、遺言書を作成したり、遺産の相続について特別の意思を
表明した事実は認められない。持ち戻し免除の意思表示をしたと認め
ることは困難である。
② 名古屋高決平18.3.27
死亡保険金等の合計額は本件遺産の相続開始時価額の約61パーセント、
遺産分割時の価額の約77パーセントを占めること、被相続人と申立人(後妻)
との婚姻期間は3年5ヶ月程度であることなどを総合的に考慮すると、上記の
特段の事情が存するものというべき。
③ 大阪家堺支審平18.3.22
相続財産の額60パーセント余りに過ぎないこと、相手方は、長年被相続人
と生活を共にし、入通院時の世話をしていたことなどの事情にかんがみる
と、特段の事情が存在するとは認めがたい。