1.財団組入れをしても破産債権者に配当できない場合、担保権消滅許可の
「破産債権者の一般の利益に適合するとき」の要件を充足すると言えるのか
どうか?
2.「破産債権者の一般の利益」という表現は、破産財団の拡充の資すること
の表現として採用されたものであり、特に「破産債権者」に限定し財団債権者
を除外する、つまり、財団不足が予想される場合を除外する趣旨として選択
されたものではないというのが、立案担当者の見解である。
3.これは、破産手続は誰のためにあるか、財団債権者への配当で手段が終わる
ことが予想されるときに、どこまでのことができるか、破産手続における財団
債権者の地位をどうとらえるかという一般的な問題の一環でもある。
4.実体法上の優先関係と異なる扱いはあくまで「破産債権者のための破産手続」
ゆえに正当化されるのであり、「破産債権者の利益のため」という理由を欠く
場面では、その正当化ができないとして、利用可能性を否定する考え方、これに
対し、元来が破産債権であったものにつき、その保護の要請から財団債権とされ
たにもかかわらず、破産債権の場合よりも保護が切り捨てられることはおおもと
の政策判断に整合しないとして、利用可能性を否定しない考え方の両論がある。