1.Aの相続が開始して遺産分割未了の間に、Aの妻Bについての第二次相続
が開始した場合において、第二次被相続人Bから特別受益を受けた者子Cが
あるとき、子Cの持戻しは必要か(相続人は他に子D)
2.①〔遺産説〕は、Aの未分割遺産について、その相続分に従ってBが取得し
B死亡により、更に再転相続人CDが相続すると考えます。すなわちAの
遺産についてのBの取得分は、Bの「遺産」を構成するわけで、B取得分
についても遺産分割手続が必要となります。
②〔非遺産説〕は、再転相続においては、割合としての相続分を承認するも
の又はAの遺産を相続分の価額に従って分配を受けるBの地位をCDが
承継すると考えます。
Bの相続分は、Bの遺産を構成する具体的財産権ではなく、遺産分割
手続の対象とならない。
3.本件におけるA及びBの各相続の経緯は、Aが死亡してその相続が開始し、
次いで、Aの遺産分割が未了の間にAの相続人でもあるBが死亡してその
相続が開始したというものである。そうすると、Bは、Aの相続の開始と
同時に、Aの遺産について相続分に応じた共有持分権を取得しており、これ
は、Bの遺産を構成するものであるから、これをBの共同相続人であるC及び
Dに分属させるには、遺産分割手続を経る必要があり、共同相続人の中にB
から特別受益に当たる贈与を受けた者があるときは、その持戻しをして各
共同相続人の具体的相続分を算定しなければならない(最平成17.10.11決定)
4.遺産総額を5,000万円として、BからCの贈与を1,000万円
〔遺産説〕Cの取得分は2,000万円(750+1,250)
Dの取得分は3,000万円(1,750+1,250)
〔非遺産説〕BからCへの特別受益は考慮されず、それぞれ2,500万円を取得