◇受託を受けない保証人が主債務者の破産手続開始後に取得した事後求償権
 と相殺禁止(大阪地裁、H20.10.31判決)(金法1866-107)


1.破産法2条5項にいう「破産手続開始前の原因に基づいて生じた」とは、破産
 手続開始前に債権の主たる発生原因が生じていたことをいう。
  保証人は、保証契約を締結すれば、主債務者から委託を受けているか否かに
 かかわらず、保証債務を履行する義務を負い、保証債務を履行すれば当然に、
 主債務者に対する事後求償権を取得するのであるから、事後求償権の主たる
 発生原因は弁済ではなく保証契約の締結であり、保証契約は破産者の破産
 手続開始前に締結されているから、事後求償権は破産債権である。

2.保証債務の履行により取得する事後求償権と、これにより代位行使が可能に
 なる原債権とは別個の権利であるから、破産法72条1項1号にいう取得とは、
 将来の請求権の場合には、将来の請求権の現実化ではなく、現実化する前の
 将来の請求権を取得することをいい、将来の請求権としての事後求償権を取得
 したのは、破産手続開始前の保証契約の締結によってであるから、同号を準用
 または類推適用することもできない。

3.保証契約は、支払不能等の事実を知るより前に締結されたものであるから、
 破産法72条2項2号ないし4号により、相殺は禁止されない。

4.本判決は、委託を受けない保証人の事後求償権の破産手続における取扱い。

 という先例の少ない事案。