自殺と説明義務、損害(判タ1275-329)

1.告知説明義務を認めた。

2.賃料収入に着目した収益物件として売買したのであって、死亡事故の後も収益に減少はなく、原告に損害はないと争った。

3.原告が主張・立証した出費(積極損害)について検討し、告知説明義務
 違反との因果関係を否定し、消極損害について
  ① 賃料収入の減少
  ② 収益物件としての賃貸マンションの利回り
  ③ 自殺物件であることによる価格の低落等に関する判断を示した上で、
 証拠関係によって経済的損害を各側面から検討しても、その全容を一義的に
 特定して認定するには至らないとし、民事訴訟法248条の趣旨に鑑み、原告
 の精神的損害と合わせて損害額を2500万円と評価するとした。

4.自殺物件であることによる減価を25%とみて、本来、1750万円程度は減額
 されるのが通常であったと解し得ること、民事訴訟法248条の趣旨に鑑み、
 本件告知、説明義務違反と相当因果関係の認められる原告の損害額は、
 2500万円と評価するのが相当であると判断する。