1 債務者は、違法不当は保全命令の執行等による損害賠償請求権の担保
として供託された金銭又は有価証券について、他の債権者に先立ち弁済
を受ける権利を有する(法4Ⅱ、民訴77)。
2 旧民訴法下においては、担保権利者は、供託された金銭又は有価証券
の上に「質権者と同一の権利」を有すると定められていた(旧民訴113)
ため、「質権者と同一の権利」の異議について、法定質権説と還付請求
権説との対立がある。
3 民訴法77条は、旧民訴法の表現を改め「他の債権者に先立ち弁済を
受ける権利を有する。」とし、還付請求権説によることを明らかにした。
4 供託物の還付を請求する方法
供託者の同意がない場合は、債務者は、債権者に対し、損害賠償請求
訴訟を提起し、勝訴の確定判決又はこれと同一の効力を有する和解調書
、認諾調書、調停調書、確定した仮執行宣言付支払督促等の書面を得て
、これを供託物払渡請求書に添付し、損害賠償請求権の存在を証明して
供託物の還付請求の手続をとる。