後継ぎ遺贈型の受益者連続信託と遺留分減殺(判タ1327-18)

1 後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは、「受益者の死亡により、当該受益者の
 有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者
 の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む)のある信託」
 (信託法91条)


2 例えば、委託者である夫が、遺言で、その所有する賃貸建物を受益者に譲渡
 し、賃料を受益者に給付することを目的とする信託を設定した上で、自己の
 死亡により、妻が受益者(第1次受益者)となり、妻の死亡により子が受益者
 (第2次受益者)となると定めたり(遺言信託による例)、委託者である夫が
 その所有する財産を受益者に譲渡し、その生前は夫自身を受益者(第1次受益
 者)とし、自己の死亡により妻が受益者(第2次受益者)となり、さらに、
 妻の死亡により子が受益者(第3次受益者)とすることと定める(信託契約
 による例)といったものである。


3 後者は、信託法90条の定める遺言代用信託と、受益者連続信託の組み合わせ
 である。


4 後継ぎ遺贈型受益者連続信託が遺留分制度を潜脱することができないことは
 、立法段階から異論のないところである。