1 最三小法平8.10.29(首長判決)
被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたと
しても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害
者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり勘酌することはできない。
2 最三小判平8.10.29(後縦靭帯骨化症判決)
原判決は、素因減額をしないとしたのに対し、平成4年判決で示された疾患
による減額法理の成否は「加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどう
か、疾患が難病であるかどうか、疾患に罹患するにつき被害者の責めに帰すべ
き事由があるかどうか、加害行為により被害者が被った衝撃の強弱、損害拡大
の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情によって左右され
るものではない」と判示し、原判決が素因減額をしなかった理由として挙げた
事情は訴額減額をしない理由とならない。
3 最二小判平12.3.24民集54巻3号1155頁、判タ1028-80(電通事件判決)
昭和63年判決の心因的要因による減額法理は労働者の業務の負担が過重で
あることを原因とする損害賠償請求においても基本的に同様に解すべきことを
確認した上で、ある業務に従事する特定の労働者の正確が同種の業務に従事す
る労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れる者でない限り、
労働者の正確が前記の範囲を外れるもの出ない場合には、裁判所は、業務の負
担が過重であることを原因とする損害賠償請求において使用者の賠償すべき額
を決定するに当たり、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を、心因的
要因としてしんしゃくすることはできない。
4 最一小判平20.3.27
体質的素因(基礎疾患)による減額を認めた判決