1 境界確定訴訟の対象を公法上の境界とする通説によれば、土地所有権の処分
そのものの自由は当事者に認められるが、すでに定められている一筆ごとの
土地の範囲である公法上の土地境界は当事者が自由に処分することは許されない
ものであるから、合意によって境界そのものを動かすことはできず、したがって、
当事者が境界について裁判上和解してもその効力を生じない、と解されている。
(最判昭42.12.26 最民集21.10.2327)
2 当事者間に和解が成立しても境界確定の効力を生じ得ない。
但し、通説も土地所有権の範囲について当事者間で合意によって定め得ることまで
は否定していない。
3 合意された境界(所有権範囲の限界)は、後日(公法上の)境界判定の有力な資料と
なり得るし(前掲最判昭42.12.26)、それが公法上の境界と合致しない場合には、
一方の所有地の一部分についてその部分の所有権を相手方に譲渡したと解すべき
であるとされている。