1 地上権設定契約及び土地賃貸借契約において、ゴルフ場経営を目的とすることが
定められているにすぎず、当該土地が建物の所有と関連するような態様で使用され
ていることもうかがわれないという事実関係の下においては、借地借家法11条の
類推適用をする余地はない。(平25.1.22第三小法廷判決) (判タ1388-105)
2 原告は、
(1)借地借家法11条の地代等増減請求権による減額、及び、
(2)事情変更の原則による減額を主張
3 Xは、地上権者及び賃借人の地位を取得し、本件土地を利用して
本件ゴルフ場を経営している。
4 借地借家法の借地に関する規定は、建物の保護に配慮して、建物の所有を
目的とする土地の利用関係を長期にわたって安定的に維持するために設け
られたものと解される
5 同法11条の規定も、単に長期にわたる土地の利用関係における事情の変更に
対応することを可能にするというものではなく、上記の趣旨により土地の利
用に制約を受ける借地権設定者に地代等を変更する権利を与え、また、
これに対応した権利を借地権者に与えるとともに、裁判確定までの当事者間の
権利関係の安定を図ろうとするもので、これを建物の所有を目的としない
地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではない。
借地借家法11条の類推適用をする余地はない。
6 民法609条が賃料等の減額請求の制度を定めているが、同条は、歴史的経緯
から、耕作・栽培に基づく収穫を目的とする賃貸借についての規定と理解されて
おり、本件のようなゴルフ場用地は、「宅地」に当たり、この減額請求の対象外
である。
7 地上権については、民法266条1項が274条を準用しており、地代の減免は
認められない。
8 事情変更の原則については、平9.7.1 判タ953号99項が、その要件を厳格に
解し、事情の変更が契約締結時の当事者にとって予見することができなかった
ことなどを必要としている。
9 本件における経済の変動はそれほど著しいものとはいえず、事情変更の原則に
よる減額を認めることには疑問があったものと考えられる。
10 従来から、建物の所有を目的としない地上権や賃借権について
借地借家法11条の類推適用を認める趣旨と解される学説が見られるが、
本裁判は否定した。