従業員の休業による外注費用と法人の損害 (東京高裁平 平24.12.20判決) (判タ 1388-253)

1 X会社に勤務し、大型活魚運搬車の運転業務などを担当していたAが休業した。
  X会社は、Aの休業中、C会社に活魚運搬業務を外注した。


2 原審は、代替措置を執ったことによる実費(積極損害)を損害として認定。
  間接損害について判示した最二小判昭43.11.15 判タ229号153頁によるのは
  相当ではないと解した上で、X会社が代替の運転手を確保しないで外注した
  ことが損害拡大防止義務に違反したということはできないし、かえって
  Y会社はX会社のために運転手を確保せず、損害防止拡大義務を放棄して
  いたのであるから、X会社には外注をしたことに必要性、相当性が認められ、
  外注費用は本件事故との間に相当因果関係があると判断。


3 本判決は、間接損害であり、AとX会社が経済的に一体をなす関係にも
  ないから、間接損害についてのX会社に対する不法行為責任も認められ
  なかった。


4 判例(最二小判昭43.11.15)は、当該企業がいわゆる個人会社で、
  代表者である被害者に会社の機関としての代替性はなく、
  被害者と会社が経済的に一体をなす関係があるときは、
  加害者には会社に対して損害を賠償する責任があると判示している。